コラム~離婚協議書を公正証書にする方法!メリット・手続きの注意点を解説~
離婚協議書を公正証書にする方法!メリット・手続きの注意点を解説
夫婦が離婚する場合、財産分与や慰謝料・養育費・親権などの条件を取り決める必要があります。このとき話し合った内容を離婚協議書にまとめると、離婚後なんらかのトラブルが発生した際に役立つ可能性があります。
さらに、作成した協議書を公正証書にしておけば、あなたや子どもの生活を守れる確率が高まるためおすすめです。この記事では、離婚協議書を公正証書にするメリットや、手続きのポイントを注意点とともに解説します。離婚を後悔したくない方や、離婚後の生活を守りたい方は参考にしてください。
離婚協議書とは何か
まず、離婚協議書とはどのようなものでしょうか。ここでは、離婚協議書の役割や記載内容を解説します。
離婚協議書とは?
離婚協議書とは、夫婦が離婚する際に話し合って決めたことを文書にまとめたものです。作成は任意ですが、あると離婚合意に至った協議内容を証明できるほか、双方の権利や義務を明確に残せます。
また「言った・言わない」などで揉めごとが起きた際も、書面に残してあると合意内容の立証が可能です。法的効力は弱いため、トラブル回避や離婚条件を整理する目的で、作成するのが良いといえます。
離婚協議書に記載すべき内容
離婚協議書に記載すべき内容は多岐にわたりますが、おもに以下の項目が挙げられます。
・財産分与
・養育費
・慰謝料
・親権
・面会交流 など
また、年金分割や住宅ローンの処理方法についても、明確に記載するのがおすすめです。これらの内容を詳細に記すことで、将来的なトラブルを予防し、離婚後の生活の安定につながります。
とくに慰謝料や養育費を求める場合は、支払い期限や延滞時の約束まで具体的に定めておきましょう。
公正証書とは何か
次に、公正証書とはどのようなものか、役割や記載内容を解説します。
公正証書とは?
公正証書とは、全国にある公証役場で公証人が作成する、公的な文書です。夫婦で取り決めた離婚協議書と必要書類を用意し、公証役場へ申し込むことで手続きを進めることができます。
公正証書は離婚条件を証明するものという点では、離婚協議書と同じかもしれません。しかし、公正証書は協議書よりも法的効力が高く、記載内容が保証されるのが特徴です。自身や子どもの生活を守るためにも、相手の支払い能力や信頼性が欠ける場合は、離婚協議書を公正証書にすべきといえるでしょう。
公正証書に記載すべき内容
公正証書に記載すべき内容は、離婚協議書と同様に以下のとおりです。
・財産分与
・養育費
・慰謝料
・親権
・面会交流 など
また、支払いが滞った場合の強制執行に関する文言を追加するケースも多く、そのような点からも文書の法的効力の高さがうかがえます。
公正証書にした離婚協議書とそうでない場合の違いについて
離婚協議書は、離婚に関する取り決めを文書化するものですが、公正証書にしたものとそうでないもの、それぞれに特徴があります。以下は、違いを一覧にしたものです。
離婚協議書 | 公正証書にした離婚協議書 | |
---|---|---|
作成者 | 離婚する夫婦 | 公証人 |
作成費用 | なし | あり |
作成場所 | 自由 | 公証役場 |
法的効力 | 弱い | 強い |
偽造の可能性 | あり | なし |
強制執行 | 裁判が必要 | 裁判なしで可能 |
離婚協議書は、離婚する夫婦が話し合った内容を記載する文書となり、決まった様式はありません。そのため、司法書士、行政書士や弁護士にサポートしてもらう人もいれば、自分たちだけで作成する人もいます。協議内容を証明できる書類ではありますが、強制力はありません。
一方、公正証書は、公証人と呼ばれる公的な資格をもつ専門家が作成する文書です。記載内容は離婚協議書とほぼ変わりませんが、その効力は強く、離婚条件が正しく履行されない場合は強制執行に踏みきれます。
ただし、第三者に介入してもらうので、費用や手続きの面で負担がかかる点は理解しておかなければいけません。そのため、離婚する夫婦の状況に応じて、適切な方法を選択するのがよいでしょう。
離婚協議書を公正証書にするメリットとデメリット
離婚協議書を公正証書にするかどうかは、離婚する夫婦によってさまざまです。ここでは、公正証書にするメリットとデメリットを解説します。
自分たちの離婚において決定事項をどのように残すのがよいか判断するためにも、チェックしておきましょう。
公正証書にする3つのメリット
まず、協議内容を公正証書にするメリットは、以下の3つです。
・法的効力がある
・養育費など、取り決めた支払いが保証される
・心理的抑止力がある
詳細を見ていきましょう。
法的効力がある
公正証書には、法的効力がある点がメリットです。離婚後に一方が取り決めを守らなかった場合、公正証書があれば裁判しなくても直接執行手続きを進められます。
たとえば、夫婦で取り決めた養育費や慰謝料の支払いに延滞が発生した場合、給与の差し押さえなどの強制執行により、支払いの確実性を高めることが可能です。離婚条件に金銭の支払いに関する取り決めがある場合、法的効力をもつ公正証書を作成しておくと、きちんと回収できるでしょう。
養育費など、取り決めた支払いが保証される
養育費や慰謝料などについて記した公正証書を作成しておくと、支払いが保証されます。取り決めた内容が守られない場合でも、迅速に法的手続きを進められるため、安定して確保できます。
とくに、相手が約束事にだらしない場合、最初のうちは支払われても、徐々に滞っていくケースが多いものです。公正証書を作成しておくと安心できるでしょう。
心理的抑止力がある
公正証書には心理的な抑止力もあります。公証人の前で正式に文書を作成するという手続き自体が、当事者の「約束を守る」という意識を高めます。
また、公正証書があると取り決めを破った際のリスクが明確になるため、合意内容が遵守されやすくなるのもメリットです。結果的にトラブルを未然に防げるなど、良い効果が期待できるでしょう。
公正証書にする3つのデメリット・注意点
離婚協議書を公正証書にすると多くのメリットを得られますが、デメリットの存在も忘れてはいけません。手続きを後悔なく進めるためにも、詳細をチェックしておきましょう。
完成まで時間がかかる
公正証書の作成には、時間がかかる場合があります。まず、当事者が公証役場に出向いて公証人と面談し、その後に公正証書の原案作成と確認・追加・修正などを経て、完成となります。
このとき、それぞれのステップに1~2週間かかるケースが多く、手続き開始から完成までは、おおよそ1ヵ月程度必要と思っておくのがよいかもしれません。作成を急ぐ場合は修正などが無いよう、あらかじめ内容をまとめた状態で面談できるよう準備しましょう。
作成費用がかかる
公正証書を作成する際には、財産分与や慰謝料、養育費など、取り扱う目的の価額に応じて手数料が発生します。具体的には、以下のとおりです。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 1万1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万7,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 2万3,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 2万9,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 4万3,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
空き家の処分に困るからといって相続放棄すると、以下に挙げる後順位の遺族に相続権が移り、負担をかけるリスクが高まります。それが原因でトラブルに発展するおそれもあり、注意が必要です。
引用元:手数料_Q3. 法律行為に関する証書作成の基本手数料|日本公証人連合会
たとえば、毎月5万円の養育費を10年間支払う内容の公正証書を作成する場合、公証役場へ支払う手数料は以下金額になります。
養育費5万円 × 12ヵ月 × 10年間=600万円 ※手数料1万7,000円
上記の手数料以外にも、戸籍謄本の発行手数料や、公正証書の正本と謄本の作成費用などが別途必要です。無料で自作できる離婚協議書とは異なり、公正証書の作成には一定以上の費用が発生する点を理解しておきましょう。
立ち合いが必要
公正証書を作成するには、公証人との面談が必要です。また、完成時は離婚する夫婦の立会いが求められ、公証人と夫婦の3名で文書を確認し、内容同意をもって手続きが完了します。
そのため、夫婦の一方がすでに遠方へ引っ越した場合や、音信不通な状態だと、作成が難しいかもしれません。
公正証書にする手続き
ここからは、公正証書を完成させるための必要な手続きを解説します。離婚にともなう各手続きと並行して公正証書をスムーズに作るためにも、手順を把握しておきましょう。
1.必要書類の準備
離婚協議書を公正証書にするためには、以下の書類が必要です。
・公正証書に記載する内容のメモ、または離婚協議書
・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・住民基本台帳カードなど)
・戸籍謄本
・不動産の登記簿謄本(財産分与に不動産が含まれる場合)
・認印(夫婦それぞれ)
・手数料(完成時に必要)
必要書類は公正証書の内容によって異なる場合があるため、あらかじめ最寄りの公証人役場へ電話し、確認しておくとスムーズでしょう。
2.公証役場での面談
書類の準備ができたら、公証役場へ連絡して公証人との面談を予約しましょう。所要時間は、1時間程度と思っておくのがよいかもしれません。
公証役場によっては、夫婦のどちらか一方が参加すればよいとされるケースもありますが、双方合意のとれた内容で作成するのが大前提です。面談には、ふたりの意見をまとめた協議書を持参しましょう。面談当日は、協議書の内容を公証人が中立な立場でチェックし、不明点や不足事項があれば都度確認・提案してくれます。
3.原案の作成
面談が終わると、公証人が10日~2週間程度かけて公正証書の原案を作成します。原案が完成したら、双方で内容を再度確認し、不足点があればこの段階で修正を依頼します。
場合によっては、追加資料の提出を求められる可能性もあるでしょう。後悔しないためにも、納得のいく内容になるまで修正してもらうのが大切です。
4.公正証書の完成
修正の確認などを経て、公正証書が正式に作成されます。仕上がったものは、離婚する夫婦と公証人の3名で確認し、合意のうえ押印すれば完成です。
完成したものは双方が一部ずつ保管し、原本は公証役場で保存されます。
離婚協議書と公正証書の作成に関するよくある質問
最後に、離婚協議書や公正証書を作成する際のよくある質問をチェックしておきましょう。
離婚協議書はどこで作ってもらえますか?
離婚協議書は、司法書士、弁護士や行政書士への依頼で作成してもらえます。また、インターネット上には雛形やテンプレートも掲載されているため、それらを参考にしながら自作も可能です。
ただし、自作する場合は法的な不備がないよう注意しましょう。正確な内容を記載するためにも、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
離婚協議書の作成における注意点は?
離婚協議書を作成する際は、双方の合意が必要です。一方的な内容や無理強いによる合意は、将来的にトラブルの原因となる可能性があります。
また、合意内容は具体的かつ明確に記載しましょう。財産分与や養育費、慰謝料などの支払いに関する事項は、期限や延滞した場合の措置も決めるのが大切です。
公正証書は自分で作成できますか?
公正証書は公証人と呼ばれる専門家が作成する公的な文書のため、自作できません。公証役場での手続きが必要で、作成に1ヵ月程度かかります。
公正証書は離婚後でも作成できますか?
公正証書は、離婚後でも双方の合意があれば作成できます。ただし、離婚した夫婦が揃って公証役場へ出向く必要があるため、離婚によって遠方へ転居する場合は、早めに手続きした方がよいかもしれません。
まとめ|離婚協議書と公正証書について専門家に相談しよう
離婚協議書を公正証書にすると法的効力が増すため、将来的なトラブルを防ぐ効果が期待できます。しかし、その手続きには時間と費用がかかるため、事前の準備と理解が重要です。
もし書類内容に不安があるなら、行政書士などの専門家からアドバイスを受けると、より納得のいく公正証書を作れます。離婚協議中の負担を減らし、将来の生活を円滑にするためにも、まずは無料相談の活用を検討してみてください。
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