事業承継
・後継者の経営をスムーズにすること
・後継者への引継ぎと共に事業を発展させること
・後継者への引継ぎ後も従業員の雇用を確保すること
このような後継者への引継ぎのトータルコーディネートが事業承継です。
具体的には、親族内への経営権の委譲(株式譲渡)、M&A、相続税対策などが挙げられます。
事業承継対策はなぜ行なう必要があるのか
日本経済を支える中小企業では、近年、経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の確保がますます困難になっています。また、事業承継に失敗して紛争が生じたり、会社の業績が悪化するケースも多く存在しています。
経営者の高齢化の進展
・中小企業経営者の平均年齢は約57歳まで上昇
・経営者の引退予想年齢は平均約67歳
・生存率のカーブは60歳前後から大きく下降
後継者の確保が困難
・経営者の子供が事業承継する割合は20年前の約半分に
・後継者が既に決定している企業は全体の約43%のみ
上記の様な状況もあって、ますます事業承継の重要度が高まっています。
事業承継に十分に対処できない場合の危険は?
事業承継を失敗すると・・・
・お家騒動の危険性
・事業の不安定
・従業員の生活が脅かされる
・社内での理解が得られない
・相続税などの税金面でのデメリット
・後継者が負(マイナス)の遺産を背負う
・議決権が行使できず、経営がロックしてしまう。
・最悪の場合廃業となる
という危険があります。
こんな危険を除去するために、事業承継を成功させる必要があるのです。
事業承継の方法
事業承継の方法は、
(1)親族内承継
(2)従業員等への承継
(3)M&Aの3つがあります。
各承継方法のメリット・デメリットを把握するとともに、後継者候補等の関係者との意思疎通を十分に行い、承継方法と後継者を確定しましょう。当事務所の司法書士が、貴社の状況を詳しくヒアリングさせていただき、最適なご提案いたしますので、一度ご相談下さい。
事業承継あれこれ
Q1 事業承継の際には、相続税はかかるものなのでしょうか?
A1 事業承継については、様々な税金が関係してきますが、その中でも相続税は、事業承継を進める上でも 最も対策の必要な税金のひとつです。
事業承継では、自社株が相続財産としてカウントされる点がポイントになります。自社株の評価額がその他の財産と併せても相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)以下であれば、課税されません。
ただし、自社株の評価額が思っていた金額より高いケースもよく見受けられますので、相続税はかからないだろうと 漠然に考えているのは少々危険です。
予め、専門家にご相談の上、自社株の評価を試算しておくことをお薦めいたします。
Q2 相続が起こる前に、後継者である息子に贈与しようと考えているのですが、贈与税はどれくらいかかるのでしょうか?
A2 自社株は帳簿価格で取引することはできません。贈与に際しては株式の評価が必要になります。
1月1日から12月31日までの贈与額の合計が110万円を超える部分には、贈与税がかかります。最低税率は10%です(贈与額310万円まで)。
贈与税は、他の所得に比べて税率が高いため、税負担が大きくなってしまう可能性があります。
例.1年間の贈与額が1,000万円の場合
→贈与税は231万円(基礎控除110万円、税率40%、控除額125万円)
1年間の贈与額が5,000万円の場合
→贈与税は2,289万5,000円(基礎控除110万円、税率55%、控除額400万円)
Q3 相続時精算課税制度というものがあると聞いたのですが、事業承継に使えるのでしょうか?
A3 相続時精算課税制度を利用することで、事業承継に関する税負担が軽くなることがあります。
相続時精算課税制度とは、親(または祖父母)から子(または孫)に贈与を行う場合に、トータルで2,500万円までの贈与について贈与税の計算から除外される制度です。贈与した金額は親(または祖父母)が亡くなった時の相続財産に上乗せされて、相続税の計算の基準となります。贈与税に関する通常の課税制度(暦年課税といいます)と相続時精算課税制度のうち、いずれかひとつの制度を選択できます。
どちらの制度のほうが税負担が軽くなるかは、ケースバイケースですので、事前に十分な比較検討が必要です。
Q4 自社株の納税猶予制度が創設されたと聞いたのですが、どういった制度ですか?
A4 法律上の要件をクリアした中小企業の後継者を対象として、自社株に係る相続税額の80%が納税猶予されます。最終的に事業承継がスムーズに完了すれば、猶予された税額は免除になります。
但し、法律上の要件は多岐にわたり、一定の場合、猶予は取り消され、利子税を付加した一括納付を迫られる場合もあります。専門家に必ず相談しましょう。